まつやまワールド    WORLD U
屋久島・宮之浦岳 1936m
2007.5.3〜5
その1

投石岳付近から見た宮之浦岳(中央右)と永田岳1886m(やや左)



松山〜鹿児島を結ぶサーブ340B、36人乗り


【概要】
 屋久島は2003年に一度訪問したことがある。その時は、雨の中、縄文杉を目指してトロッコ道を歩いた。実は、宮之浦岳に登ろう、と計画していたのだが、天候が悪く視界も利かないため、荒川登山口から大株歩道のコースに変更したのだった。そして、らっきょうのような大粒の雨と滝のように流れ落ちる山からの水の中をなんとか帰ってきた。

 今回は前回の反省を生かして、スケジュールに余裕を持ち、しかも、テントや寝袋を用意して山の中で2泊の計画で、淀川登山口から宮之浦岳を目指し、その後は縄文杉を経てウィルソン株、トロッコ道へと下り、最後は白谷雲水峡へ登り返すルートを選んだ。テントや寝袋は新たに購入し、万全の体制で屋久島縦走にいどんだ。

 当初は無人小屋を頼っての計画だったが、混雑も予想されたのでテント泊にした。淀川小屋ではじめてのテント生活。小屋も泊まる余裕はあったようだが、中へはいると汗のような異臭が漂い、すぐに出たくなった。テントは快適で、はじめてのテント生活も余裕で楽しむことができた。テントの重量が1.3kgなので、その分が重くなった程度だった。

 また、現地での時間を確保するため、松山空港から鹿児島までも飛行機を利用することにし、2日間の時間短縮を図った。屋久島に入るまでにまるまる1日を要してしまうと、雨の場合にっちもさっちもいかなくなってしまうからだ。お陰で、結構疲れることなく淀川小屋まで一気に入ることができた。昼に松山を出発し、夕方には淀川小屋にいたわけだ。屋久島空港からはタクシーで安房のAコープへ行き、マヨネーズ他食料を買い込み、そのまま淀川登山口まで走ってもらった。料金は8000円ほど。帰りも白谷雲水峡に来てくれと頼んだが、登山客は当てにならないばかりか、GW中はもっといい稼ぎがあるということで、予約を聞いてもらえなかった。

 そんわけで、初めてのテントを担いだ縦走が始まった。計画を綿密に立てていたので、ほぼ計画通りに歩くことができて、事前準備の大切さを改めて認識した。また、テントなどを今回そろえたので、できれば次回は北海道の大雪や北アルプスの雲の平などを縦走してみたいという夢が芽生えてきた。しかし、普段は山小屋中心の山登りの方が自分には向いているような気がするのだった。

【スケジュール】
2日:空路屋久島空港へ 15:20 => 17:10 淀川登山口 => 17:45 淀川小屋(テント泊)
3日:5:25 淀川小屋出発 => 6:50 小花之江河 => 7:10  花之江河 => 8:15 投石平
   =>10:40 宮之浦岳 => 14:50 新高塚小屋 => 16:30 高塚小屋(テント泊)

【形態】2名パーティ 
<画像をクリックで拡大します>
1.松山から鹿児島へ

 サーブ340B内部。横には計3席しかない。12列で36人乗り。スチュワーデスも1人。なんか、気の毒な感じがした。
 この路線は割引もなく、高い。松山から屋久島へ行くよりも、東京から屋久島へ行く方が便利で、費用も安いのではないだろうか?
2.屋久島空港に到着

 飛行機はボンバルディアQ400。この前、高知空港に全日空機が胴体着陸したのと同じ機材。やっぱり、多少不安があった。
 こっちは横4席で20列ある。きゃしゃだがすっきりとした経済性重視の感じがする。
3.屋久島空港ターミナル

 さすがローカル空港の中のローカル。歩きでターミナルへ。晴れていて良かった。
4.荷物の受け取り

 ターミナルに入ったら、乗客がだだっとたむろしていて、おもむろに預けていた荷物が出される。回転台はない。
 この間にタクシーを予約に走る。空港の前には数台しか車がいないため、いなくなったら困る。
 ここで、ガス燃料を買う。売店に売っているが、内地で買うより高い。
5.紀元杉 16:50

 淀川登山口へ行く途中にあるので、タクシーで停まってもらった。一般客はここまで。ここからは登山者のみが入ることができる。
6.紀元杉の足下

 紀元杉はすぐ近くまで近寄ることができる。一応、回廊のような木製通路が整備されている。
7.紀元杉の頂部

 屋久島は風が強いためか、落雷のためか大きな杉のてっぺんは折れている。長年の間にダメージを受けたのだろう。
 5分ほどの立ち寄りで、さらにタクシーで奥へ向かう。
 紀元杉の奥には川上杉があり、ほどなく淀川入り口に到着。準備をして歩き始める。ここには日帰りで宮之浦岳から下りてきた人たちが10名ほどいた。
8.淀川登山口より

 淀川登山口から淀川小屋を目指して登り始めたときは、すでに17:00を過ぎていた。
 これは、登山口から数十m入ったところであるが、緩やかな登山道を進む。すでに、宮之浦岳から下山してくるひとばかりで、淀川小屋へ向かう人はいない
9.登山口と淀川小屋までの登山道

 地図ではなだらかな地形と思われたが、結構アップダウンもたくさんあった。ずっと登りではないが、登った分下るという、少々空しさを感じながら、いつになったら小屋へ着くのだろうと思いながら歩いた
10.淀川小屋 17:45

 休むことなく歩いて、小屋に到着。みんな思い思いにテントを張っている。
 小屋のテラスから内部を覗いてみる。薄暗く、独特の匂いが漂う。小屋で寝ようとも考えていたが、やっぱりテントを張ることに決定。GWというのに、小屋には余裕があった。
 途中で出会った人が、小屋で、リュックの蓋を開けたままで寝てしまったら、食料を鼠に食べられてしまった、と話していた。
11.小屋前のテン場

 森の中にみんなテントを張っていて、小屋前の広場は余裕がある。
 4つのうち、右のライトグリーンのテントが自分のテント。このサイズで一人用だが、結構快適な居住スペースになる
12.水場
 
 小屋の直ぐ裏に清流があり、そこが水場となっている。近いしきれいだし、水の島、屋久島の豊かさを感じさせる
13.淀川にかかる橋

 小屋を過ぎると、鉄骨製の橋がある。ビデオや本などでも淀川といえばこの橋が紹介されている。淀川小屋のすぐ裏
14.淀川下流

 澄み切った水が流れる淀川を、橋から見たところ
15.淀川上流

 ジンネム高盤岳と本高盤岳を水源とする豊富な淀川の水。あまり広い水源域ではないが、たくさんの雨が降るためこれほどの水がいつも流れているのだろう
16.淀川を越えた辺りの登山道 5:40am

 メインストリートとはいえ、木の根っこがいたるところに張り出し歩きにくい。おまけに急登ときている。やっとここでは日の出。この日は朝から厳しい登山道が続く
17.本高盤岳手前下の登山道 6:30am

 このあたりは、登山道の土が流れ落ちるのを防ぐため、板が打ち込まれている。黒く見えるのは、板の頭が見えている
 稜線近くになって急な登りだった登山道がなだらかになってきた
18.本高盤岳 1711m

 展望が効くところに出てくると、山頂に岩を載せた面白い山が目に飛び込んできた。写真などでもよく見かける。
 とにかく、屋久島の山は、そのいただきに巨岩を載せているものが多い。岩以外の部分は大量に降る雨で流し落とされたため、岩だけが残ってこうなったのではあるまいか
19.トーフ岩 6:45am

 この辺りになると立ち枯れの杉が目立ち始める。このトーフ岩の風景は、しばらくしんどい登りを歩いてきただけに感激する。
 この本高盤岳山頂へは、登れないようだ
20.黒味岳が見えてくる

 トーフ岩を左手後方にして、登山道がやや下りになっていくと、縦走路の先の山、黒味岳が目に飛び込んでくる。その手前には、小花之江河・花之江河がある
21.小花之江河に下る

 木道の階段を下るとその先が小花之江河
22.小花之江河にもうすぐ到着

 木製階段を下ると道が水につかってくる。水の島だけあり、このような高い高度になっても豊富な水があるのだろう。いよいよ小花之江河が近いと感じる
23.小花之江河 6:50am

 標高1630mの高層湿原で、日本庭園のようだ
24.淀川小屋から2.3km

 ここまでの道は、前半が結構きつい。一度ピークに到達するとゆるやかで、さらには下るのだが、ここまでくるとトーフ岩の次にホッとできる。次は花之江河
 
25.小花之江河を守ろう!

 いつまでもこの風景が残ってもらいたい
26.小花之江河1

 西方向北面
27.小花之江河2

 北方向
 花之江河へと続く木道
28.小花之江河3

 東方向
 川下に当たる
29.小花之江河 4

 西方向
 川上に当たる
30.小花之江河5

 南方向
 これまで歩いてきた登山道。木道の階段はこの上に当たる
31.本高盤岳

 南西方向にトーフ岩も見える
32.小花之江河6

 東方向南面
 川下に当たる
33.小花之江河7

 いままで渡ってきた木道を振り返る。小花之江河を満喫できるのはたったここに見えるだけの木道を歩く間。うっかり通り過ぎてしまうと、小花之江河って、どこだっけ?みたいなことになってしまうかも
34.小花之江河出口にある杉

 特に堂々として目立つ杉で、枯渇木かと思いきや、一部葉をつけていたりして存在感がある
35.杉の足下

 かなりねじれているようで、風によるものか、厳しい気候によるものか、その歴史を感じる
36.杉の奥へと続く木道

 杉を越えると、水が豊富な道となり、木道もある。ここから花之江河にはやや登って行く感じ
37.黒味岳連山

 黒味岳の東の山で、黒味岳を目指す際に通過するピーク。やっぱり、山頂に巨岩をいただいているようだ
38.黒味岳1831m

 この黒味岳もやっぱり山頂に巨岩をいただいている。花崗岩であるようだが、山が隆起した後に、岩以外の部分が浸食されたのだろう
39.西黒味岳

 花之江河を挟んで、向こう側に、やっぱり巨岩が山頂にある、西黒味岳が聳える
40.黒味岳をバックに 7:10am

 花之江河に到着。淀川小屋から1時間45分かかっている。ゆっくり歩いてきたのだから、こんなものだろう。地図のコースタイムの通りだ
41.花之江河にて

 花之江河は南限の泥炭湿原と言われている。黒味岳も間近となり、水も豊富。しかし、ここの水は飲めないようだ
42.湯泊歩道、栗生歩道方面

 花之江河は木道が整備されていて、尾瀬を思い起こさせる。しかし、見渡す範囲くらいの湿原で、規模が狭く、大切にしていかないとなくなってしまうのではないか、と心配される
43.宮之浦岳方面へ続く木道

 真っ直ぐが宮之浦岳や黒味岳方面、右に分岐すると石塚小屋を経由して、安房歩道へ続く
44.石の祠

 花之江河中心に祭られていた。何でも天保15年に建立されたそうで、屋久島の山岳信仰の名残のようだ
45.花之江河を振り返る

 登山道を進み、振り返ったところ。森の中の楽園のようだ。花之江河とは、どんなところだろう、と雑誌やビデオを見ながら想像していたが、山の鞍部の平坦な部分に水が潤沢に供給されて、美しい湿原となっているところだった
46.黒味岳(中央奥)

 手前のピークは名前はないが、黒味岳に行く途中の山だと思う
47.手前の山の山頂部

 ピークのようにも見えるが黒味岳の一部だと思う
48.黒味岳1831m

 宮之浦岳よりわずかに100m程低い。宮之浦岳を見る展望台だそうだ
49.黒味岳への登山ルート

 ルートといっても、この山を越えて黒味岳に着くという感じ。途中の山。花之江河から右に見えていた山
50.こんな岩も下る

 投石平手前の谷に降りる。これは、左が上で、右の谷へ降りていく。ロープはあるのだが、まあ、ここが宮之浦岳への難所とえいば難所。あまり、難所らしきところはないのかもしれない
 
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