まつやまワールド    WORLD U

苗場山 2145m
2011.8.14
その2

 苗場山は天空の楽園だった。
 小赤沢コースは、6合目から8合目まではずっと急な登り続きであり、しかも登山道がジメジメしていて湿度が高いことから、足下も滑りやすく、快適な登山とは言えない。

 祓川コースは結構展望も楽しめ、山好きには持ってこいかとも思え、しかも関東地方からのアプローチも良いから、まずはそちらからの登山を考えるのだろう。

 NHKの名作、「深田久弥の日本百名山」では、山小屋の管理人高波菊男さんが祓川コースを紹介されていた。3年ほど前に「小さな旅 山の歌」で苗場山が登場し、その時会社の方針で山小屋を閉じる、という話で寂しく思ったのだが、その山小屋こそ遊仙閣だったわけか。

 小さな旅で高波さんは61歳と紹介されており、日本百名山の頃はまだ50歳そこそこだったのだろうか、随分と違った印象ではじめは同じ方とは思えなかった。しかし、よく確認するとそれなりの時間が流れたのだということを悟らされた。苗場山の登山を支えてこられたわけだ。

 そのようなことから、苗場山は祓川コースしか頭に浮かばなかったのだが、最後に小赤沢コースへ変更したのだった。途中で出会った人からは、日本海側にお住まいですかなどと聞かれたので、太平洋側方面の人はやっぱり祓川コースが主流なのだろう。


 小赤沢コースの場合は展望がほとんど楽しめず、樹林の中から突然8合目で天を突き抜けたような、深田久弥曰く「鯨の背のような膨大な図体」の山頂平原にでるものだから、感動と驚きがあった。

 急登が急に平原の木道歩きに変わるのだ。
 苗場山はその山頂の大平原が大きないけすのように雨水や雪解け水を満々とたたえているような感じであり、日射により蒸発もするのだろうがなくならないのだから不思議であった。つまり、それだけの水分が供給されていることになり、それは地下水なのか霧なのか雨なのかである。

 2000mを越える高さを誇る高層湿原がそこにはあるわけで、日本でこれ程のところは他にはないような独特の風景だった。

 小赤沢コースから登山して良かったことは、祓川コースよりも時間を若干短縮できたことと、山頂部の湿原の木道を長い時間あるいて苗場山を満喫できたことだ。特に、点在する池塘を眺めるということは下界では考えられないほど癒しになった。
 あのような美しい自然を見ていると、日常のことを忘れてしまう。

 山頂はというと、樹林の中で展望はきかないが、山頂付近から見渡す苗場山山頂大湿原は何にも代え難い、天に浮かぶ楽園のようであった。



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32.8合目への登り

 登山道が天に抜ける直前。
 ここまでがしんどい。ここから先は天空の楽園となる
33.8合目から津南町方面を見る
34.8合目休息所
35.雲上を歩く登山者
36.8合目より山頂方向
37.8合目入り口
38.坪場 2036m
39.佐武流山方面
40.佐武流山と志賀高原
41.8合目を出発
42.8合目付近の池塘
43.池塘を抜ける木道
44.9合目付近を望む
45.平標山、仙ノ倉山方面
46.ミヤマホタルイが生える池塘

 稲の苗のようで、このような池塘ガ多いことから苗場山と名付けられたという
47.点在する池塘
48.8合目の池塘群
49.大岩山 1946m
50.天に抜けたような山頂

 8合目ともなるとだだっ広い苗場山山頂の一角でもあり、池塘はこの辺りからたくさん見られる。
51.9合目付近へ続く木道
52.9合目付近にて
53.途中で出会った地元の方とすれ違う
54.9合目休息所
55.9合目付近の池塘
56.9合目から山頂を望む
57.9合目の池塘群
58.苗場山神社分岐
59.苗場山山頂方面
60.9合目分岐で休息する登山者



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