まつやまワールド    WORLD X

日本百名山・木曽駒ヶ岳 2956m
2003.10.20

 中央アルプスの主峰木曽駒ヶ岳。
 以前にもGWに千畳敷まではロープウェイでいったものの、まだ冬の世界。
 おまけに、子供連れであったため、それ程山頂駅から外へ出ていることもできず、すぐに撤退した想い出がある。
 今回は、山頂が見えていれば千畳敷から木曽駒ヶ岳山頂を目指す、という方針を立てた。何分、バスのスケジュールもありあまりゆっくりできないためだ。
 実際、千畳敷ロープウェイ駅に登りついたときは、すでに14:40を回っていた。コースタイムを標準的に足していくと、3時間30分は木曽駒ヶ岳を往復すると掛かるため、再び千畳敷のロープウェイ駅に戻りつくのは、18時を回ってしまう。しかし、ロープウェイは、17時が最終の下りの発車時刻なので、必ずそれまでに歩いて戻ってこなければならない。
 常識的には、不可能という時間であったが、この年にしてそれを乗り越えようという思いつきがおこったのは、自分でも不思議というしかない。「もう二度とここへ来るチャンスがない!」という思いがそうさせたのか、あるいは、山で良い天気に巡り会うことは滅多にない、という経験がそう駆り立てさせたのか。
 
 私は、走って山を登り、約2時間あまりで木曽駒ヶ岳山頂を往復したのであった。
 途中、写真なんかも撮ってはいるが、千畳敷駅に帰り着いてロープウェイに乗車するやいなや、ロープウェイは扉を閉めて発車したのだった。そのゴンドラには60名くらいの定員はありそうなのだが、乗客はたった3人。ほとんどの観光客はもう一便前に下山していた。
 しらび平駅に降りたら、バスは我々を待っていた。
 そのバスの中には、観光客がびっしり。どうも我々3人がみんなを待たせたみたいだった。白い視線が注がれる中、バスの中では小さくなって駒ヶ根高原まで帰ったのだった。
 


駒ヶ根橋から見る千畳敷カールと宝剣岳

1.しらび平駅前ひろば

 19日夜、宇和町を出発。ダイヤモンドフェリーで六甲アイランドへ上陸し、名神・中央自動車道へと乗りついで駒ヶ根へやってきた。
 そこで昼食を済ませ、いざしらび平のロープウェイ駅へ。
2.ロープウェイの時間待ちをする観光客ら

 しらび平は、約1600m。千畳敷は約2600m。高度差1000mあまりを10分ほどでロープウェイは運んでくれる。
 しかし、それに乗るには2時間以上の待ち時間。前回もそれくらい待った気がする。
 なんと、ここで宇和町から来たという坂戸の広見さんにあった。広見さんは、早朝から陸路で走り続けたとのことだった。
3.雲の合間から見える駒ヶ根市街地

 午後になるとガスが出てきて、南アルプスまでは見渡せない。午前中は晴れ渡り、よく見えていたのに。しかし、ちょくちょく雲の間から見える下界が気を慰めてくれた。
4.千畳敷駅と千畳敷カール

 以前に来たときはGWであったため、一面の雪だった。さらに、ガスが深く何も見えなかったのだけが印象的だった。
5.八丁坂

 この坂を登り切ることができるか、しかも限られた時間の中で。
 下から見上げると、胸突き八丁といわれるわけが良くわかる。どこで引き返すことになるのか不安を抱えながらこの坂に向かうのだった。
6.八丁坂の登りはじめ

 この時間になると登りの人よりも下りの人ばかりで、シーズン中の割には空いていたような印象を受けた。
7.中岳の巻道 15:30

 八丁坂を登り切り、稜線をしばらくいくと中岳にさしかかる。
 ここでの選択肢は二つ。中岳ピークを踏んで、駒ヶ岳側に降りる道と、中岳の西側を巻く道。まずは、巻道を選んだ。
 ところがどっこい、こちらは岩場があり、しばらくの間ひやひやさせられた。
8.中岳山頂部の岩場

 岩場から中岳を見上げたところ。中岳もなかなか険しいと思った。しかし、それはちょっとの間だった。
 
9.中岳より頂上山荘

 山頂小屋が見えてきたらあとの道は楽勝。なだらかだ。
 ここから駒ヶ岳山頂往復にどれだけ時間がかかるか。時間によっては、引き返さなければならないということもあり得た。
10.中岳より木曽駒ヶ岳山頂 15:40

 もうこれは許容範囲ぎりぎりで山頂に着きそう。地図上では、ここから頂上まで20分と書いてあるが、10分で登らなければ帰りのロープウェイに乗り遅れてしまう。
 時間と争いながらなだらかな登山道を力を振り絞って登った。
11.木曽駒ヶ岳山頂1

 やっと頂上到着。時間がない。帰りはダッシュだ。
 しかし、ここまで来たんだからちょっとくらいは山頂で過ごしたい、そんな気分だった。
12.木曽駒ヶ岳山頂2

 山頂には駒ヶ根神社が祭られていた。
 風や雪をよけるための石積みが施され、自然の厳しさが感じられた。
 それにしても、一人っきりの山登りである。
13.山頂の駒ヶ岳神社

 木曽駒ヶ岳は、信仰登山や学校登山で登られている山であるが、登山自体は危険もあまりないし、ロープウェイを利用すれば容易に2954mの山頂に立つことができる。
 しかし、この日も午前中は快晴に近かったのであるが、ロープウェイの待ち時間が2時間以上もかかったりして、下界まで十分に見えるという訳にはいかなかった。
14.駒ヶ岳山頂の表示板

 各方面への道標も合わせて表示してあった。
15.山頂で記念写真 15:53

 セルフタイマーで写真を撮る。台は、方位版兼案内板
16.正沢本谷方面

 かろうじて谷間も目にすることができた。
 なんとか山頂に到着した満足感と、時間に追われるあまり、ゆっくり景色を地図で確認する余裕は無かったのだった。
17.木曽駒ヶ岳山頂から上松町(西)方面

 頂上から西を見たところ。御嶽山が天気が良ければ見えているはずなのだが。。。
18.木曽駒ヶ岳山頂から山頂山荘方面を見る

 この風景はやまなみハイウェイからは見えない。ここへ登ったものだけが見ることのできるものだ。この風景をみたくてここまで来る登山者も多い
19.木曽駒ヶ岳山頂から宝剣岳と手前中岳

 下山中に中央アルプス主稜線を望む。北から南方面を見た感じ。この主稜線は空木岳へと繋がっており、ガスがなければ空木岳も見えるはずだった。
 空木岳は、深田久弥の日本百名山であることは知っていたが、ここに位置するとは知らなかった。まだまだ百名山は遠いのだった。
20.中岳から宝剣岳と宝剣山荘 16:14

 ここまで来ると、宝剣岳にも登ってみたくなる。しかし、八丁坂を下って千畳敷駅までいくのに30分を要するため、ここから八丁坂頂上まで15分程で行かなければならない。
 宝剣岳どころでは明らかになかった。

次へ→

今回の登山は、寂しい登山であった。誰一人、登山者とすれ違わない。
人気の山なのに、登っているのは自分一人、駒ヶ岳山頂も独り占めだった。
中岳まで降りてくると、時間的にもぎりぎり間にあるだろう、という安心感もでてきた。

[Index] [Top] [MATSUYAMA World]